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検査

major BCR::ABL1 mRNA定量   2,520点
major BCR::ABL1 mRNA〔BCR::ABL1〕
伊豆津 宏二
(国立がん研究センター中央病院・血液腫瘍科長)

基準値 キメラmRNAを検出せず〔国際標準(IS)値の場合血液で0.0007%未満〕


測定法 マルチプレックス・ワンステップ定量RT-PCR法,定量リアルタイムRT-PCR法


検体量 血液7mL(EDTA),骨髄液1mL


日数 4~7日


目的 慢性骨髄性白血病の診断,治療効果のモニタリング,major BCR::ABL1を有するPh染色体陽性急性リンパ性白血病(ALL)の診断,治療効果のモニタリング

NOTE 融合遺伝子の表記にはダブルコロン(::)を使用することが2021年末にHUGOにより推奨された.


Decision Level

■慢性骨髄性白血病(CML)に対するチロシンキナーゼ阻害薬開始後の治療効果判定

●至適効果(3カ月後BCR::ABL1定量IS値≦10%,6カ月後≦1%,12カ月後≦0.1%,その後≦0.1%)

●要注意(3カ月後BCR::ABL1定量IS値>10%,6カ月後1~10%,12カ月後0.1~1%)

●不成功(6カ月後BCR::ABL1定量IS値>10%,12カ月後>1%)

■CMLに対する治療効果判定

●分子遺伝学的大(major)奏効(BCR::ABL1定量IS値≦0.1%)

●分子遺伝学的に白血病未検出〔MR4.0(BCR::ABL1定量IS値≦0.01%),MR4.5(BCR::ABL1定量IS値≦0.0032%)〕


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 フィラデルフィア染色体(Ph染色体)は,第9染色体と第22染色体の相互転座によりできた短い異常第22染色体である.分子生物学的にはPh染色体によってBCR遺伝子とABL1遺伝子のキメラ遺伝子(BCR::ABL1)が作られる.慢性骨髄性白血病(CML)は全例がBCR::ABL1陽性である.急性リンパ性白血病(ALL)の約20%にもBCR::ABL1陽性例が認められ予後不良因子とされる.ただし,この場合,多くはminor

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