基準値 キメラmRNAを検出せず
測定法 リアルタイムRT-PCR法
検体量 骨髄液1.0mL,血液7mL(EDTA)
日数 3~5日
目的 minor BCR::ABL1陽性のフィラデルフィア(Ph)染色体陽性急性リンパ性白血病(ALL)の診断,治療効果のモニタリング
NOTE 融合遺伝子の表記にはダブルコロン(::)を使用することが2021年末にHUGOにより推奨された.
Decision Level
●陽性
[高頻度]Ph染色体陽性ALLの非寛解状態,いったん寛解となった後の再発
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
Ph染色体は,第9染色体と第22染色体の相互転座によりできた短い異常第22染色体である.分子生物学的にはPh染色体によってBCR遺伝子とABL1遺伝子のキメラ遺伝子(BCR::ABL1)が作られる.ALLの約20%がPh染色体陽性で,高齢となるに従ってその割合が高くなる.そのうち70%がminor BCR::ABL1陽性,他30%がmajor BCR::ABL1陽性である.BCR::ABL1陽性ALLではチロシンキナーゼ阻害薬が有効である.
minor BCR::ABL1 mRNAの定量は,ALLの病型診断や治療反応性の評価に有用で,塗抹標本や染色体検査では検出できないような測定可能残存病変(measurable residual disease;MRD)の評価が可能である.
[関連する検査]
①染色体検査(G分染法)やFISH検査によってもBCR::ABL1の存在が確認できるが,本検査のほうが鋭敏である.②チロシンキナーゼ阻害薬不応性の患者ではBCR::ABL1変異解析(保険適用外)を行う.
採取保存
反応を阻害するためヘパリン混入をさける.
保険注意
リアルタイムRT-PCR法により測定した場合に限り算定できる.
推奨する総説
minor BCR-ABL1 mRNA.日本臨床検査
関連リンク
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