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検査

白血球の細胞化学的検査 エステラーゼ染色  
esterase stain
神田 善伸
(自治医科大学教授・内科学講座血液学部門)

基準値 各種細胞の染色所見(表106)を参照


測定法 アゾ色素法


検体量 末梢血または骨髄血の塗抹標本2~3枚


日数 6~10日


目的 ①急性骨髄性白血病の分類,②単球系細胞の同定


NOTE‍ 保険点数:①27点を加算〔末梢血液像(鏡検法)25点に対して〕,②40点を加算(骨髄像788点に対して)


Decision Level

 以下に①~③と定義して,染色の態度を解説する.

 ①α-NBエステラーゼ染色

 ②NaF阻害試験

 ③ナフトールAS-D-クロロアセテート・エステラーゼ染色

●①(非特異的エステラーゼ染色)

 陽性顆粒は赤褐色を呈する.単球系細胞に強い活性を示す

●①+②

 単球系細胞のみ陽性顆粒が阻害される

●①+③(非特異的+特異的エステラーゼ染色の二重染色)

 陽性顆粒は青色を呈する.好中球系細胞で強い活性を示す.単球系細胞は弱い散在性の陽性であり,α-NB活性が陽性である単球は両エステラーゼ活性が同時に証明できることがある

●①+②+③(二重染色)

 好中球系細胞は青色の強陽性顆粒を呈する.単球系細胞のみ陽性顆粒が阻害される


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 単球系細胞と好中球系細胞の同定,鑑別に有用である.

 単球系細胞を識別するには,α-NBエステラーゼ染色にNaF阻害試験を併用する.これにナフトールAS-D-クロロアセテート・エステラーゼ染色を重複させると,好中球系細胞を識別できる.

 FAB分類のM4,M5,M7の型決定,さらに慢性骨髄単球性白血病の診断の補助手段になる.

NOTE‍ 測定原理

 エステラーゼは各種エステルを水解する酵素である.用いる基質により,非特異的エステラーゼと特異的エステラーゼに分けられる.基質が分解した後に生成されたナフトールがジアゾニウム塩とカップリングして,不溶性のアゾ色素が形成され酵素局在が証明される.


[関連する検査]

 急性白血病の分類のためには他にペルオ

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