診療支援
検査

抗TIF1-γ抗体   270点(包)
anti-transcriptional intermediary factor 1-γ antibody
荒木 靖人
(埼玉医科大学准教授・リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

基準値 陰性(32未満)


測定法 EIA法


検体量 血清0.2mL


日数 2~8日


目的 皮膚筋炎の診断の補助


Decision Level

●陽性(32以上)

[高頻度]皮膚筋炎(若年性および成人) [可能性]悪性腫瘍関連皮膚筋炎(成人) [対策]原疾患の精査・加療,悪性腫瘍検索


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 TIF1-γは155kDaの転写関連核蛋白であり,抗TIF1-γ抗体は皮膚筋炎に特異的な自己抗体である.抗TIF1-γ 抗体陽性の皮膚筋炎は,皮膚筋炎の約20~30%に認められ,①筋症状はそれほど高度ではないが嚥下障害を呈する頻度は比較的高い,②皮膚症状が広範囲で激しく水疱形成や紅皮症を伴うこともある,③成人では特に悪性腫瘍合併例での陽性例が多い,といった特徴がある.

 本抗体陽性例については悪性腫瘍の検索と慎重な経過観察を行う必要がある.合併する悪性腫瘍に臓器や組織型に関して特異性はない.抗TIF1-γ抗体陽性の皮膚筋炎では,間質性肺疾患の合併は少ない.抗TIF1-γ抗体は若年性の皮膚筋炎においても認められるが,間質性肺疾患の合併が少ないのは成人例と同様であり,悪性腫瘍の合併を認めないのは成人例との違いである.


[関連する検査]

 多発性筋炎/皮膚筋炎関連の自己抗体は,その抗原と臨床的特徴が明らかにされつつあり,抗Jo-1抗体を含む抗ARS抗体以外に,抗MDA5抗体,抗Mi-2抗体,抗TIF1-γ抗体などが知られている.それぞれ単独陽性となることが多く重複はまれである.そのため,予後や治療方針と相関するこれらの自己抗体から炎症性筋疾患を新たに分類し直す考えがある.


採取保存

 血清冷凍保存.


測定前後の患者指導

 皮膚筋炎の可能性があり,悪性腫瘍合併の可能性もあることから精査が必要である.


保険注意

 厚生労働省難治性疾患克服研究事業自己免疫疾患に関する調査研究班による「皮膚筋炎診断基準」を

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