基準値 10ng/107血小板未満
測定法 PAIgG:competitive solid-phase EIA,ELISA
検体量 血液7mL
日数 3~5日
目的 血小板減少症の鑑別
Decision Level
●10ng/107血小板以上(陽性)
[高頻度]特発性血小板減少性紫斑病(ITP) [可能性]全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病,敗血症,担癌患者,多発性骨髄腫など [対策]基礎疾患の診断,流血中免疫複合体の検出
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ITP(または免疫性血小板減少性紫斑病)は抗血小板自己抗体の関与が明らかであり,その自己抗原として血小板糖蛋白Ⅱb/ⅢaやⅠb/Ⅸが知られている.しかし,抗血小板自己抗体を純粋な意味で検出する優れた方法はまだない.それに代わり,患者血小板膜に結合したIgG量を測定したものがPAIgG(platelet associated IgG)である.自己血小板に対する自己抗体以外にも,血小板表面抗原と類似する抗原に対する抗体,または血小板上のFcレセプターに結合した免疫複合体などの存在でPAIgGは高値となる.以上のことから,ITPの原因と考えられる抗血小板自己抗体検出法として特異性が高いとはいえず,PAIgG高値だけでITPと診断することはない.しかし,90%以上のITP患者でPAIgG陽性となることから感度は高い.
判読
①食事による変動や日内変動はない.②PAIgGが基準域にあるITPは考えにくい.③上述したようにPAIgG高値は必ずしもITPを意味しない.
採取保存
①EDTA-2Na添加血液.②冷蔵保存(半日以内).③血小板数3万/μL以下の場合には,10mL以上採血する.
保険注意
ITPの診断または経過判定の目的で行った場合に算定する.
推奨する総説
増田亜希子ほか:血小板抗体.中井利昭(編);検査値のみかた 改訂3版.pp509
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