診療支援
検査

ヘリコバクター・ピロリの検査  
平田 喜裕
(東京大学医科学研究所准教授・先端ゲノム医学分野)

目的 ヘリコバクター・ピロリの感染診断と除菌判定


NOTE‍ 保険点数:各項目を参照


 2013年2月にヘリコバクター・ピロリ(以下,H. pylori)の除菌治療の適応がH. pylori感染胃炎に認められ,大部分のH. pylori感染者の治療が可能となった.本項では,平成25(2013)年2月21日の厚生労働省保険局医療課長からの通達(「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」),日本ヘリコバクター学会による「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016年改訂版」およびQ&A,日本消化器病学会による「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に対する除菌治療に関するQ&A」をふまえてH. pyloriの検査について概説する.それぞれの検査法については後述する.

●対象患者

‍ H. pylori感染が疑われる患者であり,保険適用となるのは,以下に掲げる場合である.

 (1)内視鏡検査または造影検査において胃潰瘍または十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者.(2)胃MALTリンパ腫の患者.(3)特発性血小板減少性紫斑病の患者.(4)早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者.(5)内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた患者.

●除菌前の感染診断

 次の6項目の検査法のうち,1項目のみ算定できる.ただし,検査の結果H. pyloriが陰性と判定された場合,異なる検査法をさらに1項目算定できる.

 ①迅速ウレアーゼ試験.②鏡検法.③培養法.④抗体測定.⑤尿素呼気試験.⑥糞便中抗原測定

 また,同時に施行する場合は①+②,④+⑤,④+⑥,⑤+⑥の組み合わせの2項目については初回実施に限り算定できる.

●除菌後の感染診断(除菌判定)

 除菌薬服用終了後4週間以上経過したのちに,前掲の①~⑥の方法について1項目のみ算定できる.ただし,検査の結果陰性となった場合,異なる検査法をさら

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?