診療支援
検査

抗ヘリコバクター・ピロリ抗体  
anti-Helicobacter pylori antibody
平田 喜裕
(東京大学医科学研究所准教授・先端ゲノム医学分野)

基準値 陰性


測定法 LA法,免疫クロマト法,金コロイド免疫測定法,EIA法など


検体量 血清,血漿,全血,尿など0.5mL


日数 2~3日


目的‍ Helicobacter pylori感染の有無の判定


NOTE‍ 保険点数:70点(ヘリコバクター・ピロリ抗体定性・半定量),80点(ヘリコバクター・ピロリ抗体)


Decision Level

●陽性

[高頻度]H. pylori感染患者またはその既往者 [可能性]H. pylori除菌成功 [対策]除菌治療を行う.「ヘリコバクター・ピロリの検査」の項を参照


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

‍ H.pylori感染に対する免疫反応によって産生される抗体を血清を用いて測定する方法であり,胃粘膜への感染を内視鏡を用いずに間接的に診断することができるため健診などで用いられることも多い.測定法,用いる抗原がキットによって異なり,カットオフ値,検出下限値,感度,特異度も異なっていることに注意が必要である.従来汎用されていたEIA法は感度がやや低いものの偽陽性は非常に少ない.一方,近年用いられるようになったラテックス法は正診率は改善しているものの偽陽性が少数ながらみられることが報告されている.内視鏡所見などの整合性がみられない場合には,他の検査を併用して慎重に判定することが重要になる.


[感度・特異度]

 キットによって異なる.感度はEIA法で85%程度,ラテックス法で90~96%程度,特異度は95%程度.


[関連する検査]

 本検査と尿素呼気試験(UBT)はともに非侵襲的なH. pylori感染検査の代表であるが,現在の感染の有無に関してはUBTがまさり,感度の高さから除菌判定に適している.一方,本検査は除菌後陰性化するまで時間を要するなどの問題はあるが,感染既往を検出したり,他法で偽陰性となりやすいPPI投与中の診断,またUBTで偽陽性を疑う場合には有

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