診療支援
検査

糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原《ヘリコバクター・ピロリ抗原定性》   142点
fecal Helicobacter pylori antigen
平田 喜裕
(東京大学医科学研究所准教授・先端ゲノム医学分野)

基準値 陰性


測定法 EIA法,免疫クロマト法


検体量 糞便(専用容器の先端で2~3カ所刺して採取)


日数 2~3日


目的‍ Helicobacter pylori感染の有無の判定


Decision Level

●陽性

[高頻度]H. pylori感染患者 [対策]除菌治療を行う.除菌後の陽性患者(一次除菌失敗例)では,再治療(二次除菌)も保険が適用(1回のみ)される.「ヘリコバクター・ピロリの検査」の項を参照


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 抗H. pylori抗体をコーティングしたマイクロウェルに,糞便を希釈液に懸濁した希釈検体を滴下し,ペルオキシダーゼ標識抗H. pylori抗体を加え反応させる.洗浄後,基質を加え発色させ吸光度を測定し結果を判定する.培養法・鏡検法に基づく感染診断ともほぼ結果は一致し,感度・特異度はともに高い.

‍ H. pylori抗原を直接検出するので,除菌治療後の判定時の検査としても使用可能である.検体として糞便を用いるので,内視鏡検査が不要な非侵襲性検査である.


[関連する検査]

 本検査とH. pylori抗体検査はともに抗原・抗体反応を利用して検出されるが,H. pylori検査としての位置づけはかなり異なる.抗体は間接所見であり,既感染や除菌直後でも陽性となるが,菌量が減少するプロトンポンプ阻害薬(PPI),抗菌薬投与などの状況下でも感染診断ができるメリットがある.本検査は日本ヘリコバクター学会のガイドラインにおいて尿素呼気試験(UBT)とともに除菌判定に有用とされている.


[特定背景のある患者]

①除菌判定時,尿素呼気試験における偽陽性例の判定に有用である.また尿素呼気試験が不適である胃部分切除後(幽門側胃切除後)の患者では感染診断,除菌判定ともに本検査が有用である.②PPI服用の影響は受けにくい.③一方水様便の患者では偽陰性になる可能性があり,注意を要

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?