診療支援
検査

A群β溶連菌迅速試験定性   124点
rapid test for Streptococcus pyogenes《rapid test for group A β-hemolytic streptococcus》
井田 陽子
(杏林大学医学部付属病院・臨床検査部)

基準値 陰性


測定法 イムノクロマト法(ICA),ラテックス凝集法(LA)


検体量 咽頭粘液を添付綿棒より採取


日数

・院内検査:5~10分

・院外検査:2~3日


目的 A群β溶連菌による咽頭炎の迅速診断


Decision Level

●陽性(検出感度:104~105CFU/テスト)

[高頻度]咽頭炎 [可能性]A群β溶連菌による化膿性炎症,扁桃炎,膿皮症,猩紅熱,産褥熱など.これらの疾患の続発症として,リウマチ熱や急性糸球体腎炎.さらにショック症状,多臓器障害,軟部組織の壊死などの重篤な病態の進行がきわめて速く,死亡率も高い(約30%)劇症型溶血性連鎖球菌感染症〔毒素性ショック様症候群(toxic shock-like syndrome;TSLS)または連鎖球菌性毒素性ショック症候群(streptococcal toxic shock syndrome;STSS)〕 [対策]検査結果が陽性となった場合の治療はペニシリン系抗菌薬の投与となり,現在までに耐性菌は認められていない


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

‍ Streptococcus pyogenesはLancefield分類によりA群に属しているβ-溶血を示す連鎖球菌である.このLancefield分類は,各種の連鎖球菌の細胞壁を構成する多糖体の抗原を,その特異性により,A~V(I,Jは除く)群に分類している.検査材料中のS. pyogenesの有する群特異性多糖体抗原を亜硝酸により抽出し,特異抗体と反応させ検出する.

 A群溶血性連鎖球菌咽頭炎は感染症法では5類感染症(小児定点)に規定されている.小児の急性咽頭炎,急性扁桃炎などの起炎菌を検出し,診断することは,その後の治療方針(投与薬剤など)に影響を与え,続発症の発症率を低下させることができる.また,劇症型溶血性連鎖球菌感染症(5類感染症)の診断は,きわめて迅速に行わなければならない

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