診療支援
検査

RSウイルス抗原〔RSV抗原〕   138点
respiratory syncytial virus antigen
佐藤 智明
(国際医療福祉大学成田病院検査部・技師長)

基準値 陰性


測定法 イムノクロマト法(ICA)


検体量 鼻腔ぬぐい液,鼻腔吸引液:スワブで採取


日数 15~30分(院内検査)


目的 RSウイルス(respiratory syncytial virus;RSV)感染症の迅速診断


Decision Level

●陽性

[高頻度]RSV感染症 [対策]主に冬季に流行し,上気道炎や細気管支炎,肺炎といった症状を呈する感染症である.成人が罹患した場合は軽い感冒症状を呈するものの,重症化することは少ない.しかし,乳幼児や低出生体重児,免疫不全の児などが罹患した場合は重症化しやすく,突然死につながる無呼吸を引き起こすこともある.現在利用可能な予防薬としては,遺伝子組み換え技術を利用して作製されたモノクローナル抗体製剤であるパリビズマブ(シナジス®)が有用とされており,保険適用となる対象には制限があるものの,感染予防や呼吸器症状の重篤化の抑制が期待できる.一方,RSウイルス感染症は高齢者や免疫不全者に対しても重篤な下気道感染症をしばしば引き起こすことが知られており,長期療養施設での集団感染例や免疫不全患者における院内感染例が問題になる場合がある.RSウイルスの感染経路は飛沫感染と接触感染であるため,標準予防策と接触感染予防策が重要となる.特に乳幼児や高齢者,基礎疾患のある人と接触する場合は,RSウイルス感染症の流行時期にはもちろんのこと,流行時期でなくても軽い感冒症状を自覚している場合は,マスクの着用や手指消毒を徹底する必要がある


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 RSウイルスの流行時期は冬季であり,乳児の過半数は最初の冬で罹患するといわれている.ウイルスに感染してから2~8日の潜伏期間を経て発症し,病像としては軽度の感冒症状から肺炎までさまざまであるが,生後数週~数カ月の児や低出生体重児,免疫不全の児,心肺系の基礎疾患を有する児では重症化しやすい

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