診療支援
検査

ヒトメタニューモウイルス抗原〔hMPV抗原〕   142点
human metapneumovirus antigen
佐藤 智明
(国際医療福祉大学成田病院検査部・技師長)

基準値 陰性


測定法 イムノクロマト法(ICA)


検体量 鼻咽頭ぬぐい液,鼻腔吸引液:スワブで採取


日数 15~30分(院内検査)


目的 hMPV(human metapneumovirus)感染症の迅速診断


Decision Level

●陽性

[高頻度]hMPV感染症 [対策]hMPV感染症は春季を中心に通年で検出されており,上気道炎や気管支炎,肺炎といった症状を呈する感染症である.臨床症状はRSウイルスによる感染症(RSV感染症)とよく似ている.ウイルス性呼吸器感染症のうち,hMPVが原因とされるのは,小児で5~10%,成人で2~4%といわれている.有効なワクチンはいまだ開発されておらず,治療としては対症療法が基本となる.感染経路は主として接触感染と飛沫感染であるため,標準予防策と接触感染予防策の徹底が重要となる


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 hMPVは感染後4~6日の潜伏期間を経て発症し,1週間程度で症状は回復する.病像としてはRSV感染症とよく似ており,軽度の感冒症状から肺炎までさまざまである.初期感染は生後6カ月頃から始まり,2歳までに半数が,10歳までには全員が初期感染を受ける.低出生体重児,免疫不全の児,高齢者や免疫不全患者では重症化しやすい.


[感度・特異度]

 鼻腔ぬぐい液では感度82.3%,特異度93.8%,鼻腔吸引液では感度95.8%,特異度93.0%である.


[関連する検査]

 インフルエンザウイルスやアデノウイルス,RSウイルスが原因となる呼吸器感染症は,主な症状がhMPVによる症状と似ているため,鑑別のために各種抗原検査が必要となる.


判読

 イムノクロマト法を原理とした抗原検査である.陽性の場合は検査プレートの判定部に陽性ラインとコントロールラインが現れ,陰性の場合は陽性のラインは現れずにコントロールラインのみ認める.コントロールラインが現れない場合は検査無効で,

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?