診療支援
検査

クラミジア類 クラミジア・シッタシ《オウム病クラミジア》  
Chlamydia psittaci
藤本 文恵
(東京大学医学部附属病院・感染制御部)

基準値

・補体結合反応(CF):血清4倍未満,髄液1倍未満

・蛍光抗体間接法(FA)(IgG,IgM):血清10倍未満,髄液1倍未満


測定法

●抗体検査

・CF:SR(single radial)CF法キット

・FA:MIF(EB体を抗原としIgM,IgAレベル),MFA(封入体を抗原としIgM,IgGレベル)


検体量 血清0.2mLまたは髄液0.4mL


日数 3~5日


目的 クラミジア・シッタシの血清および髄液中の抗体価測定


NOTE‍ 保険適用:FA(MFA)法による抗体検査は保険適用されない.保険点数:79点(ウイルス抗体価)


Decision Level

●陽性

[高頻度]急性呼吸器感染症(気管支炎,肺炎) [可能性]髄膜炎,結節性紅斑,上部頸部リンパ節炎,流産,結膜炎,心筋炎,脳症 [対策]感染防止のためトリの餌にTC剤を混入.本症によるトリの死が疑われる場合は死体および排泄物の焼却処理


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 オウム病はトリからヒトに感染する人畜共通感染症である.無症状保菌トリ,発症したトリの排泄物に由来したエアロゾルの吸引により気道感染する.トリのほかに哺乳類からの感染もある.

 1~2週間の潜伏期の後に突然の発熱で発病する.初期症状として悪寒を伴う高熱,頭痛,全身倦怠感,食欲不振,筋肉痛,関節痛などがみられて,呼吸器症状として咳,粘液性痰などがみられる.軽い場合は風邪程度の症状であるが,高齢者などでは重症になりやすい.胸部X線で広範な肺病変はあるが,理学的所見は比較的軽度である.重症になると呼吸困難,意識障害,DICなどがみられる.発症前にトリとの接触があったかどうかが診断のために参考となる.

 感染症法では,4類感染症(全数把握対象)として定められている.


[感度・特異度]

 CF法は主に属特異抗体を測定するものであり,他のクラミジア種の感染でも上昇が認められるため,トリとの接

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?