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検査

アデノウイルス抗体   79点
adenovirus antibody
栁原 克紀
(長崎大学大学院教授・臨床検査医学)

基準値 CF,NT:血清4倍未満,髄液1倍未満


測定法 CF,NT


検体量 血清0.2~0.3mLまたは髄液0.4mL


日数

・CF:4~9日

・NT:7~16日


目的 アデノウイルス感染の疑いがある場合の感染の有無の判定


Decision Level

●高値

[高頻度]熱性咽頭炎,咽頭結膜熱,急性気道疾患,ウイルス性肺炎,急性濾胞性結膜炎,流行性角結膜炎,腸重積症,出血性膀胱炎,発疹症 [対策]必要によりウイルス分離,アデノウイルスDNA検出,イムノクロマトキットを利用した抗原の検出などを行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 ヒトアデノウイルスは,DNAホモロジーなどの解析によりA~Fの亜群に分けられ,現在54の血清型が報告されている.

 潜伏期間は5~7日,主として上気道感染症や,結膜炎,胃腸炎などの原因となる.一般的には局所の感染を起こし,また,不顕性感染になりやすいという特徴がある.さらに,このウイルスにいったん感染すると型特異的な免疫が持続する.

 上気道炎は1,2,3,5型が多く,胃腸炎は40,41型と,上気道炎を起こす型と類似したアデノウイルスが分離される.角結膜炎は3,4,8,19,37型が分離され,3,4型は夏に流行する.

 アデノウイルスは広く世界に蔓延し,ウイルス性呼吸器感染症の1~5%,乳幼児急性胃腸炎の10%程度の原因ウイルスである.またウイルス性結膜炎は,エンテロウイルス70型によるものを除くと,大多数は,アデノウイルスによるとされる.

 また,わが国では非常にまれであったアデノウイルス7型は,肺炎など重症化の原因として近年定着している.


[関連する検査]

 イムノクロマトキットによる迅速診断法,必要に応じて遺伝子検査(PCR法,LAMP法),ウイルス分離培養などが行われる.


判読

①CF,NT法による抗体価の上昇が,急性期と回復期のペア血清で,4倍以上の差が認められれば診断さ

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