診療支援
検査

α-フェトプロテイン〔AFP〕   101点(包)
★★
α-fetoprotein
日野田 裕治
(札幌しらかば台病院顧問)
今井 浩三
(札幌しらかば台病院 先端医療研究センター所長/札幌医科大学名誉教授)

基準値 10ng/mL以下


測定法 CLIA,ECLIA,CLEIAなど


検体量 血清0.2~0.3mL


日数 2~4日


目的 PIVKA-Ⅱと並ぶ肝細胞癌のマーカー


Decision Level

●10~1,000ng/mL(軽度~中等度増加)

[高頻度]肝細胞癌,卵黄嚢腫瘍,胎児性癌,未熟奇形腫,肝硬変 [可能性]慢性肝炎,急性肝炎,脂肪肝,チロシン血症,毛細血管拡張性運動失調症,水頭症,先天性胆道閉鎖症,妊娠,遺伝性AFP稽留症,胃癌,胆管癌,膵癌,腎癌,肺癌,大腸癌,子宮癌,膀胱癌 [対策]肝機能検査,各種肝炎ウイルスマーカー,CEAやCA19-9などの各種腫瘍マーカーの検索,消化管内視鏡,腹部エコー,胸・腹・骨盤部CT,MRIなどを行う

●1,000ng/mL以上(高度増加)

[高頻度]肝細胞癌,卵黄嚢腫瘍,胎児性癌,肝芽腫 [可能性]乳児肝炎,先天性胆道閉鎖症,肝転移を伴う胃癌,膵癌などのAFP産生癌 [対策]肝細胞癌,肝細胞腫瘍などの存在を念頭に腹部エコー,胸・腹・骨盤部CT,MRIなどの画像検査を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 AFPは胎児期に肝臓および卵黄嚢で産生される分子量約70,000の胎児性蛋白である.種々の物質の結合蛋白として母体と胎児間の物質の輸送に関係し,また,免疫抑制作用をもつと考えられている.遺伝性AFP稽留症の遺伝子異常が明らかにされている.この胎児期に存在する蛋白が癌化,特に肝細胞癌で再び産生されることがあるため,腫瘍マーカーとして利用される.AFPは肝細胞癌のマーカーとして肝細胞癌の補助診断,治療効果判定および再発の指標として用いられる.肝細胞癌に対する肝移植において,治療前血中濃度は予後の指標となる.肝細胞腫瘍の一部,肝芽腫の診断にも用いられる.さらに重症,劇症肝炎などで肝再生の指標としても使用される.サーベイランスの補助診断で用いる場合,A

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