診療支援
検査

TFPI2(組織因子経路インヒビター2)《PP5(胎盤蛋白質5)》   190点(包)
tissue factor pathway inhibitor 2《placental protein 5》
安井 寛
(聖マリアンナ医科大学特任准教授・内科学(血液・腫瘍内科))

基準値 191pg/mL未満(卵巣明細胞癌の判別カットオフ値:270pg/mL)


測定法 EIA


検体量 血清0.5mL


日数 2~3日


目的 卵巣悪性腫瘍の診断補助


Decision Level

●191pg/mL以上(基準値以上)

[高頻度]卵巣悪性腫瘍 [可能性]卵巣良性腫瘍,妊娠 [対策]妊婦で高値となるため妊娠の可能性を排除のうえ,標準臨床管理ガイドラインに基づき,血清中CA125など他の卵巣癌腫瘍マーカー測定および臨床所見,超音波,その他の画像診断を組み合わせて評価する

●270pg/mL以上

[高頻度]卵巣明細胞癌 [可能性]明細胞癌以外の卵巣悪性腫瘍 [対策]妊婦で高値となるため妊娠の可能性を排除のうえ,標準臨床管理ガイドラインに基づき,血清中CA125など他の卵巣癌腫瘍マーカー測定および臨床所見,超音波,その他の画像診断を組み合わせて評価する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 TFPI(tissue factor pathway inhibitor) は,血液中に存在する生理的な抗凝固因子として発見されたセリンプロテアーゼ阻害因子であり,遺伝的背景の異なる2種類のTFPI(TFPI1とTFPI2)が存在する.TFPI2は胎盤蛋白質5(placental protein 5;PP5)と同一蛋白質であり,胎盤,臍帯静脈内皮細胞,肝臓に発現し,特に周産期の胎盤から強く分泌される.近年,TFPI2は卵巣癌が分泌する蛋白質の網羅的解析から卵巣癌特異的な腫瘍マーカーとして注目され,卵巣癌のなかでも特に卵巣明細胞癌患者の血清で高濃度に検出されることが明らかになった(Arakawa N, et al:PLoS One 11:e0165609,2016).

 一般に卵巣に腫瘍が認められ,悪性腫瘍を疑う場合,CA125を中心にCA19-9などの既存腫瘍マーカーを組み合わせて測定することが推奨され

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