基準値 500U/mL未満
測定法 EIA,ECLIA,CLEIA,ラテックス凝集比濁法
検体量 血清0.2mL
日数 2~3日
目的 間質性肺炎の診断
Decision Level
●高値
[高頻度]間質性肺炎(活動期100%,非活動期65%),膠原病関連間質性肺炎(活動期90%,非活動期61%),特発性間質性肺炎,過敏性肺炎,放射線肺炎,薬物性肺障害,肺結核42%,肺胞蛋白症 [可能性]サルコイドーシス,びまん性汎細気管支炎,ニューモシスチス肺炎,サイトメガロウイルス肺炎,肺気腫6%,気管支拡張症5%,好酸球性肺炎,肺癌,膵癌,乳癌 [対策]原疾患の診断と治療
●低値
[高頻度・可能性]健常者,非間質性肺炎
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
KL-6は20万以上の巨大な分子量をもつ膜貫通型非分泌型ムチンMUC1上のシアル化糖鎖抗原である.肺においては主にⅡ型肺胞上皮細胞および気管支上皮細胞の管腔側に発現しているが,膵臓,食道,胃の上皮でも発現が認められる.特に,再生Ⅱ型肺胞上皮細胞で強く発現するため,肺胞上皮障害によるバリア障害によって血清KL-6が増加する.
疾患別の血清KL-6値は,特発性肺線維症を含む特発性間質性肺炎では70%以上の症例で高値を示す.一方,膠原病関連間質性肺炎,肺野型サルコイドーシス,肺胞蛋白症,過敏性肺炎,薬物性肺障害,放射線肺炎など,多くの他の間質性肺疾患(interstitial lung disease;ILD)においても上昇が認められ,重症例ではより高値を示す.ただし間質性肺疾患のなかでも,器質化肺炎では軽度上昇にとどまることが多い.一方,夏型過敏性肺炎では顕著な高値を示す.肺胞蛋白症でも他疾患に比べて著増する症例が多いが,肺の線維化を伴う症例のほうが高い傾向を示す.感染症においては,一般的な細菌性肺炎,マイコプラズマ肺炎,クラミジア肺炎ではほとんど異常値