診療支援
検査

先天性心疾患(CHD)
田口 淳一
(東京ミッドタウンクリニック院長)

病態

 左→右短絡,右→左短絡,狭窄の複合


[参考]

 成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017年改訂版)


異常値

・身体所見 心雑音(「診断・経過観察上のポイント」参照)

・心電図 特有の房・室負荷所見(「診断・経過観察上のポイント」参照)

・心エコー 特有の所見(「診断・経過観察上のポイント」参照)

・3D-CTおよびMRI シャント,形態観察に特に有用である

・BNP,NT-proBNP 上昇(心不全の判定に有用である)

・胸部X線 特有の所見

・動脈血酸素飽和度 右→左シャントの存在


経過観察のための検査項目とその測定頻度

 検査の頻度は重症度判定のための平均年1回である.手術が必要だと考えられた場合には,心臓カテーテル検査を行う(シャント血流量の決定など).「先天性心疾患の診断,病態把握,治療選択のための検査法の選択ガイドライン」「成人先天性心疾患診療ガイドライン」(日本循環器学会ほか)を参照のこと.なお,成人先天性心疾患センターが大学病院を中心に設けられている.


診断・経過観察上のポイント

 以下の①~⑥は成人でもみられるものである.①心房中隔欠損症の場合:Ⅱ音固定性分裂,不完全右脚ブロック(IRBBB),右心系拡大,心房中隔欠損(左→右短絡血流)が認められる.②心室中隔欠損症の場合:4Lでの全収縮期雑音,左室肥大(LVH),欠損孔での左→右短絡血流が認められる.③肺動脈狭窄の場合:2Lでの収縮期駆出性雑音,右室肥大(RVH),右室負荷,肺動脈狭窄部が認められる.④Fallot四徴症の場合:2Lでの収縮期駆出性雑音,単一Ⅱ音,RVH,心室中隔欠損,右→左短絡,肺動脈狭窄,右室負荷が認められる.⑤大動脈縮窄症の場合:血管雑音,LVH,狭窄部血流エコー,胸部X線での肋骨のノッチング,四肢圧較差が認められる.⑥心室中隔欠損症や弁逆流のある場合:抜歯時などに感染性心内膜炎予防のため抗菌薬(アンピシ

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