診療支援
検査

感染性心内膜炎(IE)
伊苅 裕二
(東海大学教授・循環器内科学)

病態

 主に細菌による心内膜,特に弁の感染症.不明熱の原因疾患の1つ


[参考]

 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)


異常値

●Duke診断基準(大基準) 血液培養と心エコーの弁破壊所見は大基準項目であり,両者を認めれば感染性心内膜炎(IE)と診断できる

●血液培養 陽性:3回施行すれば95%以上起因菌を検出できる

●心エコー 弁破壊,vegetation,弁逆流

●Duke診断基準(小基準)

●素因 素因となる心疾患・静注薬物常用

●発熱 38℃以上の発熱

●血管現象 血管の塞栓など

●免疫現象 糸球体腎炎,Osler結節など

●活動性炎症 CRP高値など

●上記で診断がつかないとき

●心臓CT 弁周囲膿瘍

●PET/CT 人工弁の場合


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●CRP‍ [急性期]週2回 [回復期]週1回

●血液培養‍ [急性期]抗菌薬開始前に3~5回

●心エコー‍ [急性期・回復期]1カ月ごと


診断・経過観察上のポイント

①vegetationの形態が,容易に外れて塞栓症の危険が高いと判断されたときには,緊急弁置換術の適応となる.手術適応決定には,心エコーを行う必要がある.経食道心エコーは弁の観察にさらに有用である.②血液培養を3~5回施行後抗菌薬治療を開始する.有効な場合,まず解熱し,その後次第にCRPが低下する.CRP陰性化後2週間まで抗菌薬を継続する.③菌塊の塞栓による細菌性動脈瘤(mycotic aneurysm)からの脳出血を合併することがある.神経症状が突如出現したら頭部CTを行う.さらに合併する脳炎,髄膜炎などIEの30%に神経症状が合併すると報告されている.④免疫不全の患者には,まれであるが真菌性心内膜炎も起こりうる.真菌性は弁破壊を伴わず,半数は心エコー正常である.⑤ブドウ球菌による場合,急速に弁破壊が進行し,心不全を合併する.早期の弁置換術を考

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