病態
心臓刺激伝導系のうちで洞房結節,心房筋,房室結節,あるいはKent束などの副伝進路が関与する頻拍の総称である.リエントリー(再入あるいは回帰)を機序とする頻拍がほとんどであり,臨床的には器質心疾患を有さずに発作性に頻拍が生じ持続することから発作性の名称がつけられている
[参考]
①2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン.p42-45,②2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン.p28-32,③不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版).p69-77
異常値
・心電図 ①心室内変行伝導を伴わない,あるいは副伝導路を順行伝導しないPSVTのQRS幅は洞調律と同様に正常(QRS<0.12秒)で,R-R間隔は整(規則正しい),心室レートは120~250/分である.頻拍発作中にQRSと一定の間隔で非洞性P波がみられるものもある.しばしばST-T変化がみられることがある.②PSVTはその発生機序,必須の電気生理学的要因により次のA~Dに分類される.臨床現場で通常遭遇するPSVTはほとんどがAまたはBであり,その発生頻度はPSVT全体の,A 50~60%,B 40~50%である
A.房室リエントリー頻拍
B.房室結節リエントリー頻拍
C.洞結節リエントリー頻拍
D.心房頻拍
経過観察のための検査項目とその測定頻度
●長時間心電図 頻拍の持続時間の確認や発作の誘因となる不整脈の評価のために測定する.また,薬物治療の場合には薬効や副作用評価の目的で,その前後に行う.診断とカテーテルアブレーション治療には電気生理検査が必要である.
診断・経過観察上のポイント
①発作時に特有な自覚症状があること,発作中の心電図が記録されることにより診断は確実になる.通常の心電図所見対比からQRSと非洞性P'との関連によりPSVTの分類が可能であり,この意味から長時間心電図記録あるいはイ