病態
心臓刺激伝導系の右脚と左脚の分岐部より心室側(His束より遠位部)に起源を有する頻拍(心拍数は通常120~250/分)であり,広義には3連発以上の心室期外収縮が含まれる.発生機序にはリエントリー性,異常自動能亢進や撃発活動によるもの(特発性)があり,波形からは単形性,多形性(torsade de pointes)に分類される
[参考]
①2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン.p46-48,②2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン.p86-102,③不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版).p97-104
異常値
●心電図
・通常は,wide QRS頻拍(QRS幅≧0.12秒)であり,wide QRS頻拍の80%以上がVTである
・心室内変行伝導あるいは早期興奮症候群(WPW症候群など)における一部の反対方向旋回性(antidromic)頻拍,抗不整脈薬の使用,電解質異常などの影響下で心室内変行伝導をきたすときは上室性頻拍でもwide QRS頻拍を示すことがあるので,それらとの鑑別診断を要する
・VT中の心房活動 VT症例の50%以上が房室解離を示す.他に心房細動,あるいは心房への逆行伝導を示すものがある.心房および心室のそれぞれ独立した規則的拍動がVTの心電図上の特徴的所見であるが,これは独立した整のPが認められる心電図においてのみ診断が可能になる
・QRS幅 特にV1でR波陽性(上向き)のQRS幅が0.14秒以上のものはVTである可能性が高い.しかし脚ブロック合併の上室頻拍,副伝導路を順行伝導する上室頻拍もwide QRSを示すため注意を要する
・QRS電気軸 -90°~±180°の電気軸を認めるwide QRS頻拍はVTであることが多い(特に心筋梗塞例).一方,特発性VTのQRS電気軸は基準範囲にあることが多い
・wide QRS頻拍中にみら