診療支援
検査

痛風,高尿酸血症
永田 正男
(ふくやま病院内科)

病態

 高尿酸血症に伴い尿酸の塩析が起こり,急性関節炎,耳翼あるいは足部に痛風結節を呈し,腎機能障害をきたす(女性ホルモンに腎臓からの尿酸排泄を促進する作用があるため,女性では少ない).種々の生活習慣病においては血清尿酸値が臨床上有用なマーカーとなる.30歳以上の男性において高尿酸血症は30%(女性は50歳以上で3.7%)であり痛風は1%を超えていると推定されている


[参考]

 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版,2019


異常値

・尿酸 7mg/dL以上.前日の食事や内服の影響を受けるので1~2週間おいて複数回測定が望ましい.尿酸値が7mg/dL以上あると結晶化しうる

・白血球 増加.痛風発作に伴って炎症反応を示す

・CRP 増加.痛風発作に伴って炎症反応を示す

・赤沈 亢進.痛風発作に伴って炎症反応を示す

・クレアチニンクリアランス 低下.尿酸結晶が腎の髄質に沈着し,髄質障害を主体とした痛風腎となり最終的には糸球体濾過能も低下してくる

・尿中α1およびβ2-ミクログロブリン 増加(尿細管障害のため,α1およびβ2-ミクログロブリンの再吸収が低下し尿中への排泄が増加する)

・尿浸透圧 低下(尿細管障害のため,尿の濃縮力が低下する)

・腹部エコー 腎結石の合併,腎中心部エコーの増強


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●尿酸‍ [急性期]尿酸値を下げる必要があり,1カ月ごとに測定する [安定期]発作がおさまった後は,食事療法と内服により尿酸値を6.0mg/dL未満に保ち発作がでないことを確認するため,1~3カ月に1回測定する

●末梢血検査‍ [急性期]1週間ごとに白血球,CRPを測定し炎症の程度を観察する

●腎機能検査‍ [回復期]6カ月~1年ごとに検査する


診断・経過観察上のポイント

①高尿酸血症を伴い,急性関節炎発作をきたす.②血清尿酸値は,慢性腎臓病(CKD)の発症や進展に関係している.③肥満

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