病態
複数の内分泌腺に特定の組み合わせで腫瘍性病変を生じる.しばしば家族性で,常染色体顕性.MEN1はMEN1遺伝子の変異により生じ,副甲状腺機能亢進症(90%以上),膵消化管腫瘍(約60%),下垂体腫瘍(約50%)が特徴的である.MEN2はRET遺伝子の変異により生じ,甲状腺髄様癌(ほぼ100%),褐色細胞腫(60%)が特徴的である.
[参考]
多発性内分泌腫瘍症診療ガイドブック,2013. 日本内分泌学会ホームページ「臨床的重要課題」http://square.umin.ac.jp/endocrine/rinsho_juyo/index.html
異常値
・血清Ca濃度 高値
・血清PTH濃度 高値
・血清ガストリン濃度 高値(1型の20~40%)
・血清インスリン濃度 高値(1型の2~10%)
・血中GH,ACTH,PRL濃度 高値(1型でときにいずれかが高値)
・血清カルシトニン濃度 高値(2型)
・血清CEA濃度 高値(2型)
・血中カテコールアミン(CA)濃度 高値(2型)
経過観察のための検査項目とその測定頻度
●血清カルシトニン,CEA,Ca,P,Cr,PTH,血圧,血中CA 甲状腺髄様癌の診断には,血清カルシトニン・血清CEA濃度が有用である.副甲状腺機能亢進症の急性期には,血清Ca・P濃度や血清Cr濃度を数日ごとに測定する.甲状腺髄様癌や副甲状腺過形成の術後慢性期には,血清カルシトニン・血清CEA濃度や血清Ca・P濃度を数カ月ごとに測定する.当初,褐色細胞腫が発見できない例でも,長期間のフォローアップ中に発症することがあり,血圧の測定を数カ月ごとに行い,必要なら血中CA濃度を測定する [測定意義]副甲状腺の過形成は再発しやすいので,血清Ca濃度・P濃度や血清PTH濃度をときどき確認すること.高Ca血症時には,血清Cr濃度の上昇に注意する
診断・経過観察上のポイント
①副甲状腺機能亢
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