病態
「尿蛋白陽性などの腎疾患の存在を示すサイン,もしくは推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m2未満,が3カ月以上持続する状態」を慢性腎臓病(CKD)という.尿蛋白陽性やeGFR 60mL/分/1.73m2未満が続く場合,腎不全に進行し透析が必要になるリスクが高いうえ,脳心血管病発症リスクが高くなることから,早期発見・早期治療により,透析患者や脳心血管病の発症を減らす目的で提唱された診断名である.
重症度を,原疾患,GFR区分,蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する(表234図)
従来,慢性に腎機能が低下した結果として高窒素血症,高血圧,浮腫,貧血,電解質異常(高K血症,高P血症),代謝性アシドーシスなどが出現した状態を慢性腎不全とする診断名が用いられてきた.慢性腎不全はCKDのステージ4,5レベルに該当する
[参考]
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018
異常値
●診断のための検査
・推算GFR(eGFR) <60mL/分/1.73m2(血清Crから算出)
・尿検査 尿蛋白陽性,尿蛋白/クレアチニン比≧0.15g/gCr
●原因鑑別のための検査
・血液検査 Alb低下,Ca上昇,HbA1c上昇,LDL-コレステロール上昇,抗核抗体陽性,血清補体価低下,IgG・IgA・IgM上昇もしくは低下,MPO-ANCA陽性,PR3-ANCA陽性
・尿検査 蛋白陽性,潜血陽性,円柱陽性,α1-ミクログロブリン増加
・腹部超音波 腎の萎縮,尿路閉塞,多発嚢胞
・腎生検 腎障害の原因確定と組織障害程度の把握のため必要となる場合もある
●腎機能低下に伴う病態把握のための検査
・血液検査 Hb低下,尿酸上昇,K上昇,Na低下,Cl低下,Ca低下,P上昇
・血液ガス 代謝性アシドーシス
経過観察のための検査項目とその測定頻度
透析導入に至るリスクを高くするのは,①CKDステージ4,5,②eG