診療支援
検査

ネフローゼ症候群(NS)
堀田 晶子
(東京大学大学院医学系研究科・医学部臨床実習・教育支援室(腎臓・内分泌内科))

病態

 ①高度蛋白尿(>3.5g/日もしくは随時尿で>3.5g/gCre),②低蛋白・低アルブミン血症(Alb<3.0g/dL参考所見として血清TP<6.0g/dL),③浮腫,④脂質異常症(高LDLコレステロール血症)を呈する病態(診断上①,②は必須,③は必須ではないが重要所見,④は必須条件ではない.卵円形脂肪体は診断の参考となる)と定義されている.その他,病態として血栓症,易感染性,腎機能低下,高血圧などが問題となることがあるが,病態は完全には解明されていない


[参考]

 エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020


異常値

 「病態」の項の①~④の所見の他に下記.

・尿検査 血尿の有無や程度は原疾患によって異なる.FENa低値を呈することが多い

・血液検査 微小変化型ネフローゼ症候群,巣状糸球体硬化症では大量蛋白尿に伴い腎機能低下(BUN・Cr上昇)を呈することもある.その他,低Na・低Caなど電解質異常,凝固能亢進,肝障害,TSH上昇・T3低下など多彩な血液異常を呈する

・腎機能 腎不全を合併するとBUN・Cr上昇,eGFR低下,電解質異常などを呈する


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●尿蛋白定量‍ [急性期]週3回 [回復期]週1~2回 [慢性期]1~3カ月に1回

●血清TP,Alb,BUN,Cr,eGFR‍ [急性期]週2~3回,場合によっては毎日 [回復期]週1~2回 [慢性期]1~3カ月に1回

●尿定性・沈渣,血算‍ [急性期]週2回程度 [回復期]週1回程度 [慢性期]1~3カ月に1回

●selectivity index IgGとトランスフェリンのクリアランス比(CIgG/CTf).糸球体での尿蛋白の選択性を反映し,0.2未満は選択性良好,0.2以上は不良.0.2以上の場合,ステロイド反応性が悪く治療抵抗性とされる

●補体価,抗核抗体,ANCAなど 原疾患による

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