診療支援
検査

腎血管性高血圧症
林 松彦
(河北総合病院・臨床教育・研修部部長)

病態

 片側,または両側の腎動脈狭窄によるレニン分泌亢進,体液貯留,血行動態変化に基づく高血圧症


[参考]

 超音波による腎動脈病変の標準的評価法(案) 2014

 高血圧治療ガイドライン2019


異常値

・血圧 140/90mmHg以上(家庭血圧130/85mmHg)

・血漿レニン活性 カプトプリル50mg経口負荷後60分値12ng/mL/時以上かつ10ng/mL/時以上の増加,上昇率が前値3ng/mL/時未満の場合400%以上の上昇,上昇率が前値3ng/mL/時以上の場合150%以上の上昇

・腎サイズの左右差 1.5cm以上

・腎動脈超音波検査 収縮期最高血流速度(peak systolic velocity;PSV)180cm/秒以上,renal/aortic ratio(腎動脈起始部PSV/腹部大動脈PSV)>3.5

・腎動脈造影,CT血管造影,磁気共鳴血管造影(造影剤有無を問わず) 腎動脈の60%以上の狭窄


経過観察のための検査項目とその測定頻度

■血管形成術施行例

・血漿レニン活性 急性期,回復期ともに,再狭窄の指標として想定する [急性期]1週ごと [回復期]1~3カ月ごと

・血圧測定 [急性期]血管形成術直後は頻回に(時間ごと),その後1日に3~4回測定 [回復期]2週~6カ月ごと

・腎動脈造影,CT血管造影,磁気共鳴血管造影(造影剤有無を問わず) 血管形成術有効例で血圧上昇を認めた場合,未施行例で腎機能の急速な低下,血圧上昇などを認めた場合


診断・経過観察上のポイント

①30歳以下,55歳以上発症の重症血圧症例,複数の降圧薬投与にもかかわらず治療抵抗性の高血圧,レニン・アンギオテンシン系阻害薬開始後の急速な腎機能低下では積極的に疑う.②腎機能低下例がしばしばみられ,MRI,CTともに造影剤の使用については注意を要する.③腹部血管雑音,血漿レニン活性異常値(カプトプリル負荷テストも含め)は,

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