診療支援
検査

IgG4関連疾患(IgG4-RD)
和田 琢
(埼玉医科大学リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 血清IgG4高値,全身諸臓器の腫大や線維化をきたし,病理学的にはIgG4陽性形質細胞浸潤を示す原因不明の疾患.罹患臓器は多岐にわたり,中枢神経系(下垂体炎,肥厚性硬膜炎),涙腺・唾液腺(Mikulicz病,硬化性唾液腺炎,Küttner腫瘍),眼窩,甲状腺(Riedel甲状腺炎),肺,膵臓(自己免疫性膵炎),胆管(硬化性胆管炎),肝臓,消化管,腎臓,前立腺,後腹膜腔(後腹膜線維症),リンパ節,大動脈などの血管,皮膚,乳腺などが知られ(図115),それらの機能障害によってさまざまな臨床症状が出現する


[参考]

 IgG4関連疾患包括診断基準2020

 IgG4関連腎臓病診断基準2020


異常値

・血清IgG4 上昇(135mg/dL以上)

・血清IgG 上昇

・血清IgE 上昇することがある

・血清CH50 低下することがある

・赤沈 亢進

・病理組織学的所見 以下の2つを認める.①組織所見:著明なリンパ球,形質細胞の浸潤と線維化を認める.②IgG4 陽性形質細胞浸潤:IgG4/IgG陽性細胞比40%以上,かつIgG4 陽性形質細胞が10/HPFを超える


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●血清IgG4‍ [急性期]2~4週に1回 [慢性期]1~2カ月に1回

●白血球・分画‍ [急性期]2~4週に1回 [慢性期]1~2カ月に1回

●その他 臓器障害に応じて,またステロイド副作用モニターのために適切な検査を行う


診断・経過観察上のポイント

①病理組織所見が診断には重要であるが,部位によっては組織が得られない場合もあり,特徴的な臓器における腫大,線維化病変を認め,血清IgG4高値である場合には疑診群とする.この場合には悪性疾患などの鑑別を十分に行う必要があり,そのうえで臓器障害など治療の必要があればステロイド剤を用いる.②血清IgG4値の治療目標については結論が出ていないが,血清IgG4は疾患再燃

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