A.疾患・病態の概念
●市中肺炎とは病院外で一般社会生活をしていた人に発症した肺炎をいう.2010年の日本の人口動態統計によると,肺炎による死亡率は死因の第4位であり,年々増加傾向にあり,全死亡に占める割合は9.9%である.肺結核,院内肺炎,日和見肺炎,閉塞性肺炎,誤嚥性肺炎,慢性下気道感染症の急性増悪などを鑑別することが治療上重要である.
●細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別:諸外国のガイドラインでは記載されていないが,この鑑別は治療上きわめて有用である.典型的な非定型肺炎を診断し,適切な抗菌薬投与が推奨される.また,臨床現場では混合感染も念頭に置かなければならない.
●市中肺炎でのウイルス性肺炎はインフルエンザ,麻疹,水痘,RSウイルスなどによる.この中で迅速診断と特効的治療が可能な肺炎はインフルエンザ肺炎である.さらにインフルエンザ罹患後に発症する細菌性肺炎ならびにインフルエンザ肺炎と細菌性肺炎