診療支援
治療

肺血栓塞栓症
pulmonary thromboembolism
瀬尾憲正
(美術館北通り診療所・院長(高松市))

A.疾患・病態の概要

(図1)

●肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)は主に下肢の深部静脈に形成された深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)が何らかの刺激で剥がれて血流に乗り,塞栓子として肺動脈で閉塞して発症する疾患である.DVTとPTEは一連の疾患であり,これらの2つを総称して静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)と呼ぶ.

●DVTの形成機序は,古くからウィルヒョー(Virchow)3徴(血流うっ滞,血管内皮損傷,凝固能亢進)と呼ばれ,これらの3徴が揃いやすい周術期,妊娠や外傷後に発生しやすい(「深部静脈血栓症」参照,).また,付加的な因子として,肥満,高齢,長期臥床,呼吸不全,悪性疾患,重症感染症,静脈血栓塞栓症既往,血栓性素因,下肢麻痺,下肢ギプス包帯固定などが挙げられる.

●急性PTE

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