A.疾患・病態の概要
●食中毒の発生率は年間1,000~3,000件程度,患者数は2万人から多い年で5万人程度,死者は年間数人から20人程度である.
●食中毒は原因となる因子を経口で摂取することによって起こる.原因食品別では,貝類,フグ,肉類,キノコなどが多く原因食品は多岐にわたる.症状は下痢や嘔吐や発熱などであるが原因により様々である.発生件数で見ると,カンピロバクター食中毒・ノロウイルス食中毒,サルモネラ菌属食中毒が多い.腸管出血性大腸菌食中毒は発生頻度が少ないものの,症状が重篤化するものもあり注意を要する食中毒である.
●食中毒の原因には以下のものがある.
①細菌性食中毒およびウイルス性食中毒,②自然毒食中毒,③化学性食中毒
B.最初の処置
①細菌性食中毒,ウイルス性食中毒では,急性腸炎の初期治療に準ずる.原因物質により特異的な症状を呈するので注意が必要である.一定の潜伏期後に,悪心,嘔吐,腹