A.疾患・病態の概要
●メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)とは,抗菌薬メチシリンに対する薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌の意味であるが,実際は多くの抗菌薬に耐性を示す多剤耐性菌である.なお,生物種としてはあくまで黄色ブドウ球菌である
●黄色ブドウ球菌感染症に対して1940年代初期に開発されたペニシリンGは一時期有効であった.しかし1950年代には黄色ブドウ球菌はペニシリンを分解する酵素であるペニシリナーゼ(βラクタマーゼ)を産生するようになり,耐性を獲得した.今日でも黄色ブドウ球菌の90%以上はペニシリンGに耐性である.
●1959年に黄色ブドウ球菌の産生するペニシリナーゼに抵抗性のある半合成ペニシリンであるメチシリンが開発された.その後,同様なペニシリン系のオキサシリン,クロキサシリン,ナフシリンなど
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/セファゾリンナトリウム水和物《セファメジンα》
- 治療薬マニュアル2024/クリンダマイシンリン酸エステル《ダラシンS》
- 治療薬マニュアル2024/クリンダマイシン塩酸塩《ダラシン》
- 治療薬マニュアル2024/エリスロマイシン《エリスロマイシン》
- 治療薬マニュアル2024/ムピロシンカルシウム水和物《バクトロバン》
- 治療薬マニュアル2024/ミノサイクリン塩酸塩《ミノマイシン》
- 治療薬マニュアル2024/アルベカシン硫酸塩《ハベカシン》
- 治療薬マニュアル2024/バンコマイシン塩酸塩《塩酸バンコマイシン》
- 治療薬マニュアル2024/テイコプラニン《タゴシッド》
- 治療薬マニュアル2024/リネゾリド《ザイボックス》
- 臨床検査データブック 2023-2024/耐性菌,多剤耐性〔MDR〕についての概説
- 臨床検査データブック 2023-2024/黄色ブドウ球菌ペニシリン結合蛋白2'〔PBP2'〕 [保]*
- 臨床検査データブック 2023-2024/尿中レジオネラ抗原定性 [保] 211点
- 新臨床内科学 第10版/1 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症
- 今日の整形外科治療指針 第8版/起炎菌の今日的特徴
- 今日の整形外科治療指針 第8版/MRSAによる感染症