小児の発熱は救急で最も頻度の高い訴えであり,50%近くを占める.多くは自然に軽快するウイルス感染であるが,重篤な疾患が隠れていることがあり,現場ではこれを見落とさない,ないしは注意深く追っていくことが求められる.年少児の敗血症や髄膜炎は発見が難しく,進行が早いため,検査のフルスタディが求められる.はっきりした否定的な証左がない限り,結果の重大さに鑑み生後3か月未満は入院,もしくは小児科医へ相談ないし紹介することが勧められる.
A.小児ならではのポイント
●年少児では自覚症状の訴えがない.
●年齢により原疾患の頻度が異なり,同一の原疾患でも予後が異なる.
●発熱しやすい.基礎代謝が高く,うつ熱しやすい,サイトカインが出やすいなど,成人に比べて体温は高くなりがちである.脱水や環境温の上昇だけでも容易に体温が上昇する.
●発熱をきたす病変の進行が速い.感染症,熱射病,薬剤などすべてに当てはまる.
●クーリングや寒冷への曝露により容易に低体温に陥る.このため,真の発熱がマスクされることがある.
●感染症,環境以外の特異病態を考慮することが求められる(尿崩症,無汗症など).
●アレルギー疾患で発熱をきたすことがある.
●平熱が高い.37.5℃までの体温は通常平熱と考えられる.
B.最初の処置(おおむね15分以内に)
1迅速な全身状態の評価と蘇生
1意識・気道・呼吸・循環を迅速に評価し,対応する 診療中に呼吸不全,ショックがあれば直ちに蘇生操作に入る.酸素を投与し,モニターを付け,人手を確保する.気道確保,胸骨圧迫,ルート確保などを手順に従い迅速に行い,呼吸不全,ショックからの脱却を図る.
2痙攣は止める 痙攣は止めるべきである.自然に止まったものは経過観察でよいが,循環・呼吸に配慮し,モニター装着のうえ,酸素を投与する.15分以上続く痙攣や群発する場合の抗痙攣薬の使用法は他項に譲るが〔「痙攣」,→〕,厳重な
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