診療支援
治療

刺咬傷
bites and stings
池田弘人
(帝京大学准教授・救急医学)

A.病態

●昆虫や動物の鋭く尖った口器による刺し傷,あるいは顎による咬み傷を指す.皮膚全層を貫き,皮下組織に達した傷は当然,刺創あるいは咬創と表記するが,前項に述べられている,鋭利な器具による傷害である「刺創」()とは区別するため,「刺咬傷」とする.植物の棘による損傷は本項では含めない.損傷の程度は,鋭利な突起物や顎の大きさや威力により左右され,また,有毒な物質を注入する機能があるか否かで注意点が異なる.

●人体に刺咬傷を加える危険のある生物としては,節足動物(アリ,ハチ,アブ,ブユ,ムカデ,クモ,サソリ,ダニ),爬虫類(ヘビ),海洋生物(ヒトデ,クラゲ,ウニ,ミノカサゴ,ゴンズイ,エイ,ウミヘビ,オキザヨリ,テンジクダツ),哺乳類(ネズミ,ハムスター,ネコ,イヌ,クマ)などが挙げられる.


B.初期診療

1刺咬傷のタイプ

1高エネルギー損傷タイプ 強力な顎で咬まれる,あるいは鋭利な歯や角で切り裂か

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