診療支援
治療

電撃傷
electrical injuries
上山昌史
(社会保険中京病院救急科主任部長/救命救急センター長)

A.病態

●電撃傷は,電流が身体を通過する際に発生するジュール熱および電流の直接作用によって組織が損傷される真性電撃傷と,高電圧のアーク放電(4,000℃に達する)やその衣服着火によって皮膚が熱傷を負う電気火傷に分けられる.

●真性電撃傷の組織損傷度は,電圧,電流量,電流の種類(直流か交流か),通電時間,通電経路,その組織の電気抵抗によって決まる.

 オームの法則:電流(I)=電圧(E)/抵抗値(R)

  および

 ジュールの法則:

  電力(J)=電流(I)2×抵抗値(R)

 に従い,電流は電圧が高いほど多くなり,単位時間あたりに発生するジュール熱は抵抗が大きいほど多くなる.電撃傷における電圧は通常1,000V以上を高電圧,それ未満が低電圧とされる.なお,電源の電圧だけでなく,単位距離あたりの電位差が損傷エネルギーとして重要であるといわれている(同じ電圧でも頭から足への通電より手から肘への通電のほうが

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