A.ハチ
1病態
厚生労働省による人口動態調査によると,1999~2008年の10年間でハチ刺傷による死亡数は232人に上る.年間約20人前後の人が亡くなっており,有毒動物による死亡の中では一番多い.その大部分はアナフィラキシー反応によるものと思われる.
2治療
①ミツバチの針が残っている場合には,つままずに,爪ではじき飛ばす.針の根元に毒嚢が付いているので指でつまむと毒液を注入してしまうことになる.
②局所に対しては,very strong以上のステロイド軟膏(マイザー®薬,デルモベート®薬)を塗布し,冷やす.鎮痛薬とセレスタミン®薬を処方する.痛みが強ければ,リドカイン薬薬(キシロカイン®)を周囲に浸潤してもよい.
③犬吠様咳嗽,喉頭浮腫による呼吸困難,喘鳴,チアノーゼなどを認めれば,アナフィラキシーを起こしているので,ただちに酸素投与,モニター装着,静脈ラインを確保する.β2刺激薬のネブライザー吸入をしつつ,0.1%アドレナリン(ボスミン®薬)0.3~0.5mL(小児:0.01mL/kg,最大0.3mL)を大腿筋に筋注する.症状の改善を認めない場合は,30分ごとに同様の手順を繰り返す.なお,β遮断薬を使用中の患者では,アドレナリンの効果は期待できないので,代わりにグルカゴン外1~5mg(20~30μg/kg)を5分以上かけて静注後,5~15μg/kgで持続点滴する.
④さらに,ステロイド薬としてヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ®薬)100~200mg(小児5mg/kg)またはメチルプレドニゾロン(ソル・メドロール®薬)40mg(小児1mg/kg)を6~8時間ごとに点滴静注する.それでも気道が保てない場合には,気管挿管もしくは,気管切開を行う.
⑤ショック状態の場合は,上記治療に加え,生理食塩水5~10mL/kgを急速輸液する.改善がなければ5分後にアドレナリン薬を追加投与し,輸液負
関連リンク
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