今日の診療
内科診断学

発熱
一山 智


発熱とは

■定義

 発熱(fever)とは,視床下部の体温調節中枢における体温設定温度が高く設定された結果起こる,体温の異常上昇である.

 口腔内測定による体温の正常上限値は通常37℃と考えられている.体温の日内変動を考慮すれば,99%以上の健康成人においては36.0〜37.7℃の範囲内である.一方,早朝時に37.2℃を超えたり,午後あるいは夕方に37.7℃を超える場合は異常上昇と考えられる.

 口腔内体温に比べて直腸温は約0.6℃高く,腋窩温は約0.3℃低い.

■患者の訴え方

 患者は「熱っぽい」「体温を測ったら○℃だった」「体がほてる」「ゾクゾクする」「寒気がする」などと訴えることが多いが,無症状から悪寒戦慄を呈する激しいものまで個人差が大きい.

 乳幼児や高齢者,あるいは低栄養下においては,感染症などの発熱をきたす疾患が存在するにもかかわらず,症状を訴えないことがあるので注意を要する.

 発熱に伴う全身的な訴えとしては,倦怠感,頭重感,頭痛,食欲不振,眠気,ほてり感,発汗,悪寒戦慄,筋肉痛,関節痛などがある.局所の訴えとして,病巣臓器や病巣部位に一致した腫脹や疼痛などがみられる.

■患者が発熱を訴える頻度

 発熱を訴えて来院する患者は比較的多く,内科や外科などの一般診療において約30%の患者にみられる.

症候から原因疾患へ

■病態の考え方

 患者が発熱,あるいはそれに伴う症状を訴える場合,感染性疾患か非感染性疾患かを考える.

 感染性疾患では,Gram(グラム)陰性菌の内毒素(エンドトキシン)やGram陽性菌の産生する発熱毒素などのさまざまな外毒素(エキソトキシン)が直接に発熱物質として作用したり,感染成立後に単球やマクロファージなどの免疫担当細胞を刺激し,インターロイキン1(IL-1),腫瘍壊死因子(TNF),インターロイキン6(IL-6),インターフェロン(IFN)などの発熱性サイトカインを

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