今日の診療
内科診断学

高血圧
山沖 和秀


高血圧とは

■定義

 一般には,数回測定した収縮期血圧140mmHg以上,または拡張期血圧90mmHg以上のいずれかを満たす場合を高血圧(hypertension)と呼ぶ.表3-199に日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン(2014年)における分類を示す.

■患者の訴え方

 頭痛,肩がこる,頭の緊張感,のぼせ感などを訴えることがある(なお,鼻出血,眼球結膜の出血などで,本人が血圧を心配して来院することがあるが,こうした出血と血圧との間には直接の因果関係はないことが多い).また,健診時や自宅で測定した血圧が高いということで来院することもある.

 高血圧が持続し高血圧性合併症をきたせば,それに伴って各種の症状が現れる.たとえば,心肥大や虚血性心疾患による労作時の息切れや動悸(洞性頻脈や期外収縮,心房細動など),狭心症・心筋梗塞や大動脈解離,僧帽弁腱索断裂による胸痛,脳卒中による麻痺,くも膜下出血・脳内出血による頭痛,眼底出血による視力障害,腎障害によるむくみ,多尿・乏尿などがある.悪性高血圧ではさらに高度の頭痛や視力障害,意識障害などをきたすこともある.頸動脈などの動脈硬化性狭窄では,血管雑音により拍動性の耳鳴を訴える例もある.

 なお,(臥位,座位では)高血圧であっても,起立性低血圧を合併して,立ちくらみを訴えることもある.

■患者が高血圧を訴える頻度

 定義にもよるが,30歳以上の日本人男性の約60%,女性の約45%が高血圧といわれており(2010年国民健康・栄養調査),健診や他疾患の診察などで偶然に発見される患者は多い.また,手術前のチェックなどで血圧が高いと指摘されたり,家庭用血圧計の値を心配して来院することもある.

 ただ,すでに治療を受けている患者も多いため,高血圧を主訴に来院するのは,内科初診患者の約5〜10%程度であろう.注意すべきは,高血圧で治療中の患者でも,降圧薬の効きすぎ

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