意識障害とは
■定義
意識障害(consciousness disturbance)とは,意識の明るさ(覚醒度)の低下,あるいはその内容(思考,判断,記憶などの能力)の障害された状態を指す.脳に一次的な原因を有する場合と,脳以外に原因があり二次的に脳機能の障害される場合がある.
意識障害の程度により,深昏睡から意識の変容まで,さまざまな病態が存在する.表3-364図に急性意識障害の程度を表す用語を示す.
救急医療の臨床の場面では,表3-365図に示すJapan Coma Scaleや,表3-366図に示すGlasgow Coma Scale(GCS)による意識障害の分類がよく用いられる.
■患者の訴え方
一過性の場合を除き,意識障害を患者自らが訴えることはない.表3-365図,表3-366図の評価とともに,実際の患者の状態についての具体的な記録が重要である.
■意識障害の頻度
意識障害を生じた原因疾患の種類により,頻度,性差は異なる.救急診療でみられる意識障害患者の内訳では,脳血管障害(約50%),外傷(10〜20%),中毒(3〜5%程度)などによる意識障害の頻度が高い.一次性だけでなく,さまざまな全身疾患による二次性意識障害がみられる.
症候から原因疾患へ
■病態の考え方
(図3-337)図
意識障害を考える際,病因診断,程度の把握,病変部位診断の3つが基本的に重要である.
原因疾患の推測(状況,家族などから)は,情報が限られる場合もあるが,可能なかぎり病歴や服用薬物,意識障害を生じた場所の状況を聴取する.たとえば,患者のおかれていた環境や状況から,環境因子や中毒などの原因を推定する.既往歴や現病歴から,意識障害を起こす原因となる疾患の可能性を考慮する.突然の発症であれば脳血管障害の可能性が高い.
程度の把握には,先に述べたJapan Coma Scaleなどを用いて評価を行う.
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