診療支援
診断

貧血
anemia
奈良 信雄
(日本医学教育評価機構 常勤理事/順天堂大学医学部 客員教授/東京医科歯科大学 名誉教授)

貧血とは

定義

 末梢血液単位容積あたりの赤血球数(RBC),ヘモグロビン(Hb)濃度あるいはヘマトクリット(Ht)値が低下した状態を貧血という.一般には成人男性でHbが13g/dL未満,成人女性で12g/dL未満,高齢者および妊婦では11g/dL未満を貧血とする〔WHOより〕

患者の訴え方

 貧血患者では,Hbの低下による低酸素血症に基づく症候,貧血が高度になって心不全を起こすことによる症候,そして貧血を起こした原疾患そのものによる症候を訴える.また,貧血の定義が検査値によるので,自覚症状がなく,健診などで貧血を指摘されて来院することもある.

低酸素血症による症候

 末梢血液中のHb濃度が減少する結果として末梢組織で低酸素血症をきたし,易疲労感,めまい,皮膚・粘膜の蒼白などの症候が現れる.「仕事の能率が上がらない」「なんとなく気力がない」などと訴えることがある.

心不全による症候

 長期間にわたって貧

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