診療支援
診断

喀血,血痰
hemoptysis,bloody sputum
生山 裕一
(信州大学医学部内科学第一教室総合内科医育成学講座 助教)
花岡 正幸
(信州大学医学部附属病院 病院長/信州大学医学部内科学第一教室 教授)

喀血,血痰とは

定義

 一般に喀血とは,下気道(肺または気管・気管支)から出血した血液そのものを喀出することをいう.特に100~600mL/日の喀血量を認める場合を大量喀血と呼ぶ.血痰とは,痰に血液が付着もしくは混在したものを指す.口腔や鼻腔からの出血とは区別する.

患者の訴え方

 喀血・血痰は身体の危機,生命の不安感を感じるものであり,初めて血痰が出た場合,患者は驚いて外来受診することが多い.訴えとしては「痰に赤い点や線が混じった」「咳をして血を吐いた」「血が混じった痰を吐いた」というものなど多彩である.一般的には「咳とともに出た」と表現するため,吐血と区別できることが多い.しかし,鼻出血や咽頭,口腔からの出血も気道内に吸引され咳嗽を伴い「喀血・血痰」と表現することもあるので注意が必要である.

患者が喀血,血痰を訴える頻度

 喀血・血痰を主訴として来院する患者は数%程度とみられ,数十年前と比較し減少

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?