診療支援
診断

腹痛
abdominal pain
浅香 正博
(北海道医療大学 学長)

腹痛とは

定義

 腹痛は,プライマリケアで最もありふれた症状で,患者の訴えもはっきりしていることが多い.しかし,あくまでも主観的な自覚症状であり,あいまいな点が多い.訴えから痛みの起こり方,痛みの内容,持続時間などがわかり,おおよその病気を判断することができる.

 ただし,病状が進んでいてショックなどの重篤な状態になって受診することも少なくないので,初診時の身体所見のとり方と検査の進め方が重要となる.

患者の訴え方

 患者は,「チクチクする」「重苦しい」「さしこむような」「きりきりと」という言葉でその程度を,「だまっていても痛い」「押すと痛い」「痛みが走る」という表現でその性質を訴えてくる.

 腹痛は,内臓痛,体性痛,関連痛の3種類からなる.実際にはこの3種類の痛みが複雑に組み合わさって感じられる.

 内臓痛は,管腔臓器の伸展・拡張・収縮によるもので,腹部正中線上に疼痛を感じ,局在性に乏しい.痛みの性状

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