現病歴：小学6年生頃まではほぼ平均身長で成長していたが，それ以後身長増加率が低下していた．中学生になっても陰毛発生や声変わりがなく，時折頭痛も自覚するようになった．16歳時に視力低下があり，紹介受診した．

既往歴：正期産，経腟頭位分娩，3,500gで出生，Apgar（アプガー）スコア10/10，出生時の異常なし．精神運動発達遅滞なし．慢性疾患や頭部外傷の既往なし．

生活歴：両親，妹と4人暮らし．成育環境に問題なし．

家族歴：特記すべきことはない．父親の身長172cm，母親の身長155cm．

身体所見：意識は清明．身長150cm，体重50kg，BMI 22.2kg/m²，血圧116/65mmHg，脈拍68回/分（整）．顔貌異常なし．瞳孔径4/4mm，対光反射＋/＋，眼球運動障害なし，結膜貧血・黄疸なし，視力（矯正視力）は右眼0.05（1.0），左眼0.05（1.0），視野は対座法で両耳側半盲あり．甲状腺腫大なし．頸部リンパ節腫脹なし．呼吸音・心音に異常なし．胸郭変形なし．腹部は平坦・軟，肝臓・脾臓を触知しない．腋毛・陰毛の発生なし．陰茎と睾丸は年齢に比して小さい．体幹・四肢に変形や短縮なし．下肢に非圧痕性浮腫あり．外傷や皮下出血なし．

【問題点の描出】

周産期や成育環境に問題のない16歳男性．小学6年生頃から身長増加率が低下し，二次性徴が発来せず，頭痛と視力低下および視野障害が認められる．下肢浮腫あり．

診断の進め方

特に見逃してはいけない疾患

・内分泌異常症〔成長ホルモン（GH）分泌不全性低身長，甲状腺機能低下症，Cushing（クッシング）病・症候群〕

・栄養障害

・慢性疾患（呼吸器，循環器，消化器，腎疾患など）

・虐待

頻度の高い疾患

・特発性低身長

・家族性低身長

・SGA（small for gestational age）性低身長

この時点で何を考えるか？

医療面接と身体診察を総合して考える点

　医療