診療支援
診断

鼻閉
15歳 男性
藤枝 重治
(福井大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 教授)

現病歴:11月に入り鼻閉と鼻漏を自覚した.夕食後勉強をするとひどくなる.睡眠中も鼻がつまり,開口している.そのため起床時,口がカラカラになって,少し痛いようにも思える.同時に水様性からやや粘性の鼻汁を認める.症状は2週間以上続いている.これまでもときに鼻閉や鼻漏を認めたが,いつの間にか軽快していた.鼻出血はない.特に内服薬はなく,点鼻薬も使用していない.

既往歴:小児喘息であったが,小学生から発作はない.

生活歴:小学生からサッカーをしている.中学校でもサッカーをしていたが夏でやめ,高校入学のため受験勉強を始めた.ペットはこれまで飼っていない.

家族歴:父親が花粉症.

身体所見:鼻閉,鼻汁以外身体的は問題ない.175cm,65kg,脈拍72回/分,血圧120/68mmHg,体温36.5℃.鼻をぐずぐずさせている.鼻をかませると水様性鼻汁を認める.咽頭後壁には透明から半透明な後鼻漏を認める.咽頭発赤は軽度.頸部リンパ節腫脹は認めない.

【問題点の描出】

これまでもなんとなく鼻閉を認めていたが特に問題はなかった.少し寒くなった11月に入り,急に鼻閉が出現した.小児喘息であり,父親が花粉症である.

診断の進め方

特に見逃してはいけない疾患

・若年性血管線維腫

・鼻腔腫瘍

・悪性リンパ腫

頻度の高い疾患

・アレルギー性鼻炎

・慢性副鼻腔炎

・急性鼻炎

・急性副鼻腔炎

・咽頭炎

この時点で何を考えるか?

医療面接と身体診察を総合して考える点

 鼻閉を訴える患者に対して,腫瘍の病変を見逃さないことが最も大切である.15歳であれば,若年性血管線維腫が最も問題となるが,鼻閉は2週間程度であり,鼻出血を認めていないことから除外可能である.腫瘍性病変では,最低1か月以上は鼻閉を訴え,暗赤色な血液が混じった鼻汁や後鼻漏,痰を認める.さらに鼻閉が軽快したり,増悪したり変動を認めることはほとんどない.鼻出血を問うこと,血液の混じった鼻汁・

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