診療支援
診断

胸やけ・げっぷ
52歳 女性
大野 正芳
(北海道大学病院消化器内科 助教)

現病歴:2年ほど前から,就寝時に胸やけ症状を感じるようになっていた.半年くらい前から食後にもげっぷや胸やけを強く感じるようになり,外来受診となった.

既往歴:特記すべきことはない.

生活歴:看護師として勤務しており,食事摂取時間は不規則である.体重はここ半年で5kg増量した.喫煙歴は20歳から10本/日,飲酒歴はもともとビール350mLを週に3回程度であったが,最近は飲酒量が700mL/日と増量していた.

家族歴:特記すべきことはない.

身体所見:意識は清明.身長155cm,体重70kg,脈拍80回/分(整),血圧130/76mmHg,SpO2 98%(room air).体表リンパ節腫大なし.心音に異常なし.呼吸音に異常なし.心窩部に圧痛は認めない.腹部は平坦・軟で圧痛なし.

【問題点の描出】

2年前から慢性的に胸やけ・げっぷの症状を認めていた.ここ半年くらいの体重増加に伴い症状が増悪してきている.

診断の進め方

特に見逃してはいけない疾患

・冠動脈性疾患

・不整脈

・悪性腫瘍

頻度の高い疾患

・逆流性食道炎

・機能性ディスペプシア(functional dyspepsia; FD)

・非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux disease; NERD)

・胃・十二指腸潰瘍

・食道裂孔ヘルニア

この時点で何を考えるか?

医療面接と身体診察を総合して考える点

 胸やけを訴え受診した患者に対しては,まず上部消化管疾患が考えられるが,緊急性の高い心疾患を念頭におき,診察することを忘れてはならない.過去に心電図異常を指摘されているか,糖尿病,脂質異常症など,心疾患に関連する既往がないかを確認する必要がある.また,症状の発生は安静時なのか労作時なのか,発生頻度や好発時間帯,さらに食事との関連を聴取する必要がある.鑑別疾患には悪性腫瘍も含まれるため,最近の体重の増減や食事摂取量なども確認を行う.加えて

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