診療支援
診断

ショック
52歳 男性
矢崎 義行
(東邦大学医療センター大橋病院循環器内科)
中村 正人
(東邦大学医学部循環器疾患低侵襲治療学講座 教授)

現病歴:数日前より安静時の胸痛を自覚していたが,増悪寛解を繰り返し自宅で様子をみていた.昨晩より,息切れも出現し,さらに胸痛が持続するため救急要請され,搬送された.

既往歴:3年前より高血圧,脂質異常症.

生活歴:自営業.喫煙歴10本/日を32年間.飲酒歴 ビール500mL/日を週4回.

家族歴:特記すべきことはない.

身体所見:意識はJapan Coma Scale(JCS)Ⅰ-1.身長172cm,体重84kg,脈拍112回/分(整),血圧81/71mmHg,呼吸数40回/分,SpO2 92%(10L酸素吸入),体温36.7℃.頸静脈怒張.心音 Ⅲ音聴取.呼吸音 両側前胸部でcoarse crackle聴取.腹部はやや膨満・軟で,肝・膵を触知しない.末梢四肢に浮腫はなく冷感を認める.

【問題点の描出】

数日前より増悪と寛解を繰り返す胸痛が出現した中年男性.症状増悪,息切れも併発し,受診した.血圧低下,意識レベル,酸素飽和度も低下しており,末梢冷感も認める.頻呼吸,頸静脈怒張を認め,前胸部で肺雑音,Ⅲ音も聴取される.

診断の進め方

特に見逃してはいけない疾患

・心原性ショック

・低容量性ショック

・心外閉塞・拘束性ショック

頻度の高い疾患

・低容量性ショック

・感染性ショック

・心原性ショック

この時点で何を考えるか?

医療面接と身体診察を総合して考える点

‍ 〈p〉ショックは患者自ら訴えることは少ないため,意識レベルの変容によってショックかもしれないとまず疑うことが重要である.本症例では来院時意識レベルの低下を認めたため,血圧,脈圧低下,頻脈を認め,ショックを呈していると考えられる.〈p〉ショックの原因としては,ショックへ至るまでの経過が重要であり,医療面接として本人からが難しければ同伴者から状況経過を聴取する

 ショックの原因検索における身体診察の進め方としては,〈除〉末梢冷感を認めることからコールドショ

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