診療支援
診断

易疲労感
80歳 女性
丸山 浩史
(東京医科大学茨城医療センター腎臓内科 講師)
平山 浩一
(東京医科大学茨城医療センター腎臓内科 教授)

現病歴:生来健康な80歳女性.3週間前に季節性インフルエンザに罹患した.10日前に気管支炎の診断でかかりつけ医よりクラリスロマイシンが処方された.その後,呼吸器症状は改善したが,労作時の易疲労感を訴えるようになった.尿定性検査にて尿潜血3+,尿蛋白2+が認められ紹介受診となった.食事摂取量は低下しており,普段の体重と比較して2kgの体重減少を認めた.排尿時痛,排尿障害は認められなかった.

既往歴:75歳で高血圧を指摘され,近医に通院.脂質異常症,糖尿病歴はなし.1年前の健康診断では腎機能異常は指摘されなかった.

内服歴:ロサルタンカリウム25mg,1日1回1錠,朝食後

生活歴:夫・長女夫婦との4人暮らし.農家で普段から散歩,農作業をしていた.ADLは自立していた.喫煙歴・飲酒歴はない.サプリメント・漢方薬の内服はない.

家族歴:腎疾患の家族歴はない.悪性腫瘍,心疾患,頭蓋内疾患もない.

身体所見:身長139cm,体重38kg,意識清明,血圧108/58mmHg,心拍数98回/分(整),体温36.7℃,呼吸数20回/分,SpO2 98%(自発呼吸,room air).眼瞼結膜に軽度の貧血を認める.眼球結膜に黄染はない.舌・口腔内粘膜に軽度の乾燥を認める.甲状腺の腫大はない.頸静脈の怒張はない.胸部;心音,呼吸音に異常は認めない,Ⅲ音は聴取されない,腋窩の乾燥を認める.腹部;平坦・軟で上腹部の血管雑音は聴取しない,腰背部痛・腎叩打痛は認めない,下腹部の膨隆は認めない.四肢;発疹・浮腫はない.神経学的所見;異常はない.

【問題点の描出】

先行感染のある高齢女性.その後,新規に尿潜血優位の尿定性異常を認めている.身体所見では軽度の貧血があり,脱水所見も伴っている.

診断の進め方

特に見逃してはいけない疾患

・急速進行性糸球体腎炎

・急性腎炎症候群

・膜性腎症(悪性腫瘍合併)

・高カリウム血症

頻度の高い疾患

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?