診療支援
治療

6第3世代抗うつ薬(SSRI,SNRI)
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する製品

・フルボキサミン(ルボックス®,デプロメール®)

・パロキセチン(パキシル®)

・セルトラリン(ジェイゾロフト®

・ミルナシプラン(トレドミン®

・デュロキセチン(サインバルタ®


診断のポイント

・うつ病や不安障害などの病歴またはSSRI,SNRIの服用歴がある患者に,ミオクローヌス,発汗,振戦,発熱などのセロトニン症候群の症状を認める.


治療のポイント

・ほとんどの症状は24時間以内に自然消退する.

・セロトニン症候群には非特異的セロトニン受容体拮抗薬であるシプロヘプタジン塩酸塩を経口投与.


Do&Don't

・稀にセロトニン症候群が重症化して集中治療を要することがあるので注意.


概説

 第3世代抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)およびセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は,薬理学的選択性が高く,副作用が少なく,過量服薬による毒性が弱いため,古くからある三環系抗うつ薬などの抗うつ薬に置き換わり,処方量は激増している(化学構造:図1).


薬物動態

いずれも分布容積が大きい血液浄化法は無効.

・SSRIは,肝臓でチトクロームP450酵素系によって代謝される.

・SNRIであるミルナシプラン塩酸塩は,ほとんどが腎排泄される.


毒性のメカニズム

・SSRIは,セロトニン再取り込み阻害作用によってシナプス間隙のセロトニンの量を増加させる.セロトニンの遊離を促進する作用もあるとされている(図2).

・SNRIはセロトニンのみならずノルエピネフリン再取り込み阻害作用によってシナプス間隙のセロトニンおよびノルエピネフリンの量を増加させる(図2).

・これらの薬物は,第1世代または第2世代三環系抗うつ薬とは異なり,ヒスタミンH1受容体遮断作用,ムスカリン受容体遮断作用,α1アドレナリン受容体遮断作用,心筋の速いNaチャネル(ca

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