診療支援
治療

20オピオイド類
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する製品

・モルヒネ〔塩酸塩:モルヒネ塩酸塩®,オプソ®,パシーフ®(徐放剤),硫酸塩:カディアン®(徐放剤),MSコンチン®(徐放剤),MSツワイスロン®(徐放剤),ピーガード®(徐放剤)〕

・ヘロイン(スマック,ビッグ・エイチ,ブラウン,スノウ,シュガーなど)

・エチルモルヒネ(エチルモルヒネ塩酸塩水和物®)

・コデイン(コデインリン酸塩®

・オキシコドン(オキノーム®,オキシコンチン®,パビナール®)


診断のポイント

・オピオイド類の使用歴があるまたは使用を疑わせる所見(注射痕など)がある患者に,急性中毒の古典的な三徴(意識障害,呼吸抑制,縮瞳)を認める.

・鑑別診断にはTriage® DOAが役立ち,OPI(オピオイド類)が陽性となる.

・ナロキソン塩酸塩の静注により,速やかな臨床症状の改善を認める.


治療のポイント

・呼吸抑制・呼吸停止には,気道を確保し,補助換気を施行した上でナロキソン塩酸塩の静注を必要に応じて繰り返すか,持続静注.


Do&Don't

・市販の感冒薬,鎮痛・解熱薬に配合されているジヒドロコデインでもTriage® DOAでOPI(オピオイド類)が陽性になることに注意する.

・ナロキソン塩酸塩の投与後に,悪心・嘔吐,頭痛,発汗,頻脈,振戦などの離脱症状が生じることがあるので注意する.


概説

 モルヒネは,アヘン中に4~20%の濃度で含有されている天然アルカロイドで,主として鎮痛薬として用いられている.ヘロイン(3,6-ジアセチルモルヒネ)およびエチルモルヒネは,モルヒネから合成され,後者は鎮咳薬または鎮痛薬として用いられている.コデイン(メチルモルヒネ)は,アヘン中に1~2%の濃度で含有されている天然アルカロイドであるが,モルヒネからも合成され,鎮咳薬または鎮痛薬として用いられている.この他に,アヘン中に含まれているテバインから合成されるオ

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