診療支援
治療

26グルホシネート含有除草剤
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する製品

・グルホシネート(バスタ®,ハヤブサ®)


診断のポイント

・グルホシネート含有除草剤への曝露歴または曝露が生じる状況がある患者に,消化器症状や(着色剤による)青色の吐物を認める.

・図1に示した小山らのノモグラム(小山ら,1997年)が遅延性に生じる重症化の予測に有用である.


治療のポイント

・バスタ®液剤で100mL以上を服用しているか,グルホシネートの血中濃度を小山らのノモグラムにプロットして重症化の可能性があれば,予防的に,適切な鎮静下で気管挿管および人工呼吸器管理を施行して,遅発性に生じる突然の呼吸停止などに備える.

・グルホシネートは速やかに腎排泄されるので,輸液によって尿量を維持.


Do&Don't

・初診時には症状が乏しくても,グルホシネート含有除草剤中毒を疑ったら最低48時間はパルスオキシメータなどによって呼吸状態を持続モニターして厳重に管理.


概説

 非選択型除草剤であるグルホシネート含有除草剤は,最も広く用いられている除草剤の1つである.グルホシネート含有除草剤は,グルホシネート・アンモニウム塩および陰イオン界面活性剤を主成分としているが,その他に凍結防止剤,着色剤などを含んでいる(化学構造:図2).


薬物動態

・ほとんどは未変化体のまま速やかに尿中に排泄される.

・界面活性剤の薬物動態はほとんどわかっていない.


毒性のメカニズム

・図3に示すように,グルホシネートは,(グルタミン酸にアンモニアを結合させてグルタミンを合成する)グルタミン合成酵素を競合的に阻害する.

・グルホシネートは,(グルタミン酸からGABAを合成する)グルタミン酸脱炭酸酵素を競合的に阻害する.

・これらの結果,興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸が過剰となり,興奮毒性を発揮する.その一方で,抑制性神経伝達物質であるGABAが減少する.

・グルホシネートは,グルタミン酸と類似構造をも

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