診療支援
治療

【2】静脈怒張
venous dilatation
平島 修
(徳洲会奄美ブロック総合診療研修センター)

症候を診るポイント

●外頸静脈と内頸静脈を明確に区別する.

●頸静脈の拍動はへこむ拍動である.

●患者の体位を意識して評価する.

▼定義

 右心系の圧が高くなると,その直前に位置する頸静脈を「怒張」あるいは「拍動高位」として確認できる.至って単純な所見であるが,頸静脈の診察は心不全や循環血液量と関連し,病状に応じて刻一刻と変化するため,初診時だけではなく治療介入後のフォローアップまで非常に有用な所見である.古典的な診察であるが,その有用性は医療機器が発達した現在でも劣っておらず,次世代へと受け継いでいくべき診察である.

▼病態生理

外頸・内頸の解剖の違いを理解して使い分ける

 頸静脈は胸鎖乳突筋に隔てられ,内頸静脈と外頸静脈がある(図1-9).外頸静脈は血管が浮き出て見えるが,内頸静脈の輪郭は確認できない.すなわち,「頸静脈怒張」という言葉は外頸静脈の所見をいい,内頸静脈は血管そのものではなく,拍動を

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