診療支援
治療

【2】乏尿,無尿
oliguria,anuria
廣瀬 知人
(筑波メディカルセンター病院・総合診療科)

症候を診るポイント

●乏尿では腎尿路の異常を疑う.

●循環不全や尿閉など,急ぐ病態をまず確認する.

●腎前性,腎性,腎後性とわけるとわかりやすい.

▼定義

 通常,健常者の尿量はおよそ500~2,000mL/日である.乏尿とは,尿の排泄量が低下し尿量が400mL/日以下となった状態のことを表す.また乏尿よりもさらに尿量が低下し,尿量が100mL/日以下となった場合を無尿とよぶ〔第9章のも参照〕.

▼病態生理

 1日の溶質摂取量は500~600mOsm/日程度(約10mOsm/kg/日)といわれており,溶質排泄に異常がなければホメオスタシスにより摂取量と同量の溶質排泄が必要となるはずである.一方で尿浸透圧は,ADHの異常反応などがなければ50~1,200mOsm/Lの範囲で調節することができる.

 では1日に必要な最小尿量とはいくらであるか? 尿量を最小限にするにはすべての尿を最大濃縮尿で排泄すればよいわ

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